こんにちは。マッハです。
外資系エアラインのパイロットとして働いています。

レーシック手術をしていても大丈夫?

この記事では、こんな疑問や不安に答えていきたいと思います。
結論から言うと、昔と比べると視力の基準はかなり緩和されてきています。
私自身も、裸眼視力は低く、両眼とも-3.75ジオプトリーのコンタクトレンズを着用しています。
しかしながら、検査項目は他と比べると非常に多いです。
実際にフライトをしていても、広い空の中で他の飛行機を見つけなければいけませんし、地上走行中も様々な標識があり、それを見分けられる必要があります。
では、パイロットにはどれぐらいの視力が必要か、具体的に見ていきましょう。
目次
パイロットに必要な視力は?
航空身体検査証明
まず始めに、パイロットとして乗務するためには、パイロットの免許である、技能証明の他、航空身体検査証明を受けなければならないと航空法で定められています。
全身の健康状態をチェックし、フライトをするうえで身体上の問題がないことを確認しなければなりません。
- 第一種航空身体検査証明
- 第二種航空身体検査証明
航空身体検査証明は以上の2種類に分かれています。その中でもエアラインパイロットに必要なのは第一種航空身体検査証明です。
視力の項目は細分化されている
視力は以下の項目のように細分化されており、各項目の基準をクリアしなければなりません。
各大学や航空会社の採用基準はこれに基づいて、決められています。
- 遠見視力
- 中距離視力
- 近見視力
- 両眼視機能
- 視野
- 眼球運動
- 色覚
各項目の検査については、一般眼科でも受けることができるので、気になる方は事前に受けてみるのも良いかもしれません。
私も視野検査や色覚検査は一般眼科で事前に受けてみました。
具体的な測定方法や基準値は航空医学研究センターのHP内で確認することができます。
一般的な視力指標である、遠見視力の適合基準は
・各眼が裸眼で0.7以上及び両眼で1.0以上の遠見視力を有すること。
・各眼について、各レンズの屈折度が±8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上、かつ、両眼で1.0以上に矯正することができること。
引用元:航空医学研究センター
とされており、裸眼視力の条件はありません。
コンタクトレンズや眼鏡での矯正視力が基準を満たしていれば適合します。
航空会社の自社養成の応募に必要な視力は?
裸眼視力の条件はない
各募集要項を確認してみると、裸眼視力の条件はありません。
細かい数値は各大学、航空会社によって異なりますが、基本的には眼鏡やコンタクトレンズを着用した矯正視力が1.0以上が必要になります。
ただしANA以外は上述した屈折度よりも厳しく設定されています。
ANA ±8.0ジオプトリ―内
JAL、ジェイエア -6.0~+2.0ジオプトリー内
ANA WINGS ±6.0ジオプトリ―内
オルソケラソロジーを受けている人は注意
オルソケラソロジーとは、手術をせずに、特殊なレンズを使って視力を矯正する方法ですが、これは各大学、航空会社で認めていないところが多く、また航空身体検査マニュアルにも不適合の項目として記載されています(条件を満たせばOK)ので、使用する場合は注意が必要です。
中には6か月以内に受けていなければOKというところもあるので、予め確認しておくことをおすすめします。
レーシック手術はグレーゾーン
次に屈折矯正手術であるレーシック手術ですが、これもオルソケラソロジー同様に、航空身体検査の不適合項目に記載されています。しかしながら但し書きとし、以下の記載があります。
屈折矯正手術の既往歴があり、屈折矯正手術から6ヶ月以上が経過した時点において、症状が安定し、視機能が基準を満たしている場合は適合とする。この場合において、手術記録を含む臨床経過のほか、以下の検査結果において、眼科専門医の診断により異常が認められないことを確認すること。
(1)視力の日内変動(同日3回以上の測定結果)
(2)コントラスト感度
(3)グレアテスト
(4)角膜形状解析
引用元:航空医学研究センター
となっていますので、条件を満たせば、航空身体検査には適合できるかもしれません。
しかしながら、各航空会社が、認めているかどうかは募集要項にも記載されていないのでグレーゾーンです。これからレーシック手術を受けようと思っている方は、個別に確認する必要があるかと思います。
ちなみに私の周りのパイロット仲間でレーシック手術を受けた人は1人もいません。
まとめ
パイロットに必要な視力の基準は航空身体検査に適合するかどうかで決められています。
これらの基準を基に、各大学や航空会社が募集要項を定めており、これは大学や会社によって細かく違ってきます。
自分が受けたい大学や航空会社の基準をよく確認し、必要であれば、事前に検査するのも安心材料としては良いかもしれません。