

この記事では、こんな疑問に答えます。
パイロットになるまでの過程
昔は単発プロペラ機、双発プロペラ機を使用して最終的には以下の3つのライセンスを取得することでエアラインパイロットとなっていました。
- 事業用操縦士(陸上単発)
- 事業用操縦士(陸上多発)
- 計器飛行証明
航空大学校や私立大学では現在も同じ流れになります。
自社養成では、准定期運送用操縦士(MPL)というライセンスを取得するためのプログラムに変わっています。こちらの方が訓練期間が短くなるのが特徴です。
取得するライセンスは異なりますが、基本的に訓練の流れはそれほど変わりません。
出典:JAL
出典:ANA
参考までに、これはANAとJALの訓練過程ですがどの航空会社も基本的には同じような流れになると思います。
ざっくり訓練投入から副操縦士に昇格するまで3年ぐらいかかります。
では具体的な訓練内容を見ていきましょう。
訓練投入
自社養成で入社した人は、文系、理系、専門分野も様々です。
ですので、大学で航空力学などを専攻していた人を除いては、ほぼ無知な状態で訓練に投入されます。
だいたい訓練同期は6〜8名ぐらいで組まれることが多いようです。
私のときは8名で1グループでした。
座学
座学では航空力学、航空法、気象、電気、工学、航法など飛行機やフライトに関わる分野を1から学んでいきます。
これだけの量を数ヶ月の間でこなし、頭に叩き込まなければなりません。
やはり得意不得意があるので、訓練に入って早々苦労する人が出てきます。
しかしながら、ルールや内容を知らない人が操縦する飛行機ほど怖いものはありません。
ここを乗り越えるために、訓練同期で知恵を出し合い、知識を定着させていきます。
ここで、飛行機を操縦するための下準備が完了します。
単発プロペラ機
いよいよ、ここからが本格的なフライト訓練が始まります。
とはいっても、最初から大型のジェット機に乗るわけではありません。
最初は単発プロペラ機に乗り、フライトの基礎を学んでいきます。
教官からよく「PitchとSpeed」「Pitch とPower」と言われていました。このフェーズで学ぶことは結局はジェット機にいっても同じことが重要になります。
双発プロペラ機
単発プロペラ機の訓練が終わると、次は双発プロペラ機です。
単発機との違いは言わずもがな、エンジンが2つ着いているということです。
具体的に何が変わってくるかというと、片方のエンジンが不作動になったときの対応です。
慣れるまではこの対応に苦労します。
しかしながらエアラインで使用している飛行機はすべて双発以上なので、ここで学ぶことは今後一生使っていくことになります。
計器飛行
計器飛行というのは、外を見ずコックピット内の計器のみでフライトを行うことです。
これまでの訓練は外がしっかり見える状態でのフライトでしたが、もちろんエアラインで飛び始めると、いつでも天気が良いわけではありません。
基本的な操縦要領は同じですが、外が見えない分、中の計器のみが頼りになります。
計器のみでのフライトは見るべき場所が多いので案外難しいです。
このとき初めて外からの情報は重要であることを再認識します。
双発ジェット機
上記の訓練は航空大学校や私立大学でも同じ流れで行います。
ここからシミュレーターを使ったジェット機の訓練が始まります。
プロペラ機とはスピード感がまるで違います。
また、計器やスイッチの数もかなり増え、やるべきこと、見るべきものが格段に多くなります。
路線訓練
ジェット機のシミュレーター訓練を終えると、いよいよ、お客さんを乗せての路線訓練が始まります。
これまでは、基本的には何かが起きてます自分に都合の良いやり方で対処してきましたが、今後はそうはいきません。
客室の状況や会社とのやりとり等、様々な部署とやりとりをしながら決定していかなければなりません。
また、シミュレーターでは他に飛行機はいませんが、実運航ではたくさんの飛行機が飛んでいます。
周囲の状況を把握しつつ、安全なフライトを守っていくことが大切です。
これがすべて終わると晴れて副操縦士に昇格です!!
まとめ
ここまでが副操縦士になるための訓練です。
今思い出しても、かなり長かかったなと感じますし、これほど勉強したのも初めてでした。
道のりは長いですが、初めて空を飛んだときの感動、実際にお客さんを乗せて飛ぶときの緊張感などなかなか味わえない経験がぎっしり詰まっています。
とてもやりがいのありますので、なりたい人は、是非目指してほしいと思います。